医療は先進的で近隣諸国からメディカルツアー患者も受容
マレーシアの医療技術・施設は先進的で、医療設備も充実しています。ジェネラルホスピタルと呼ばれている国立総合病院がマレーシア各地にあります。プライベートホスピタルと呼ばれる、大型の私立病院には最新医療機器を設置し、高度な医療技術を持つ医師・看護師が勤務しています。
こうした、先進的な医療は近隣東南アジア諸国でも認められていて、マレーシア政府観光省でも医療を目的にした渡航を奨励する「メディカルツアー」に参加する患者さんも多いのが現状です。
ホスピタルとクリニック、ドラッグストアの役割分担
国立の総合病院や大型私立病院をホスピタルと呼んでいますが、小さな町ごとにクリニックと呼ばれる診療所が点在しています。24時間受診を受け付けるクリニックもあり、怪我、カゼや下痢など体調を壊したとき利用できます。近くのクリニックの場所や受診受付時間を調べておくのも有益な健康対策です。
クリニックを経営または勤務する医師は、基本的に内科医が多くカゼや下痢には的確な診断・投薬が期待できます。深刻な病気の場合、専門医への紹介状を書いてくれます。また、後述するマレーシアの熱帯伝染病なども数多い症例経験を持っているので、適宜な診察による診断・治療の提案が受診できます。
ドラッグストア(薬局)には薬剤師さんが勤務しており、医療機関発行の処方箋を持参すれば調薬も可能です。市販薬の胃薬、頭痛止め、目薬や塗り薬なども症状を伝えれば的確な薬を提案してくれます。薬剤師さんによっては、深刻な病気を見抜き病院や診療所への誘導もアドバイスしてくれます。
赤十字ではなく、赤い三日月が病院・診療所のマーク
日本では病院の十字のマークをシンボルにしていますが、マレーシアはイスラム教国家なので赤い「三日月」を病院のシンボルに採択しています。十字といえば、キリスト教の十字架をモチーフにしているのでマレーシア国の宗教的な背景を理解しておきたい。
下の写真はマラッカの公営クリニック。マラッカの定番観光名所スタダイス広場の北端にある、国が経営している診療所です。マレーシアの国民ICカードを所持する国民なら無料で利用できますが、日本人を含む外国人はRM23(2015年1月現在)を支払うと診療所の当番医の診察を受け、処方した薬を与えていただけます。
RM23といえば、日本円で約700円程度の負担なので、極貧生活を送る筆者にはありがたい公営の施設であります。パスポートを持参すれば、英語での簡単な問診の後にドクターの診察があり、その後処方箋を持って薬局部の窓口で抗生物質や処方薬をいただけます。
歯科医、眼科、産婦人科などの専門医
歯科医は、虫歯を治す治療院から高度な矯正やインプラントまで行えるプライベートな歯医者さんまであります。診察をきちんと行い、治療のための手順や使う薬品、治療料金に関する事前説明が詳しい。患者さんに説明して納得したら治療をはじめるインフォームドコンセントが徹底されています。
スペシャリストと呼ばれる専門医は、私立病院に勤めるのではなく、私立病院にテナントとして入居しているのです。レントゲンやMRI、手術室の利用料金、病室の入院費は病院が患者さんに請求し、専門医は診察・手術・治療・投薬などの医療技術費を患者さんに請求する仕組みになっています。
病院に患者さんが集まるのではなく、腕が良く、評判の専門医に患者さんが殺到するのもマレーシアの医療事情の現実です。眼科・産婦人科などのスペシャリストは大手私立病院に入居するのが一般的ですが、なかには個人医院をクリニックとして開業しているドクターもいます。
マレーシアで医療を受ける時の費用と必要な書類など
日本国籍を持つ方は、マレーシアで外国人です。戸籍抄本(謄本)を提示するアイデンティティー方式の日本人にはICと呼ばれる身分証明書がありません。マレーシアの医療機関で診察を受ける際にはパスポートの提示が必要です。
海外旅行傷害保険に加入されている方は、保険カードを提示することで病院や診療所で現金を支払うことなくキャッシュレスで受診することも可能です。保険に入っていない方、保険に入っているけど保険証ない方は、現金かクレジットカードで精算することができます。領収証を貰っておけば、保険で補填されます。
自己負担の場合の目安ですが、カゼや頭痛などで診察してもらい3~4日分の薬を投与してもらったとしたら初診料・診察代・薬代を含みマレーシアの現地通貨で30~50リンギ(日本円で1000~1500円)。公営のクリニックならば23リンギ統一料金が適用されます。
筆者の体験談ですが扁桃腺が悪化し私立病院にて専門的な外科手術を受け、1週間ほど完全看護で個室に入院したことがあります。全額自費負担で20万円程度でした。高いか?安いか?医師ではない筆者に相場を判断できませんが、喉は完治し、術後8年経過しますが再発や不具合はありません。Dr.Leeに感謝!
防ぎようのないデング熱・マラリヤなどの熱帯伝染病
蚊を媒介にするデンギー・フィーバーと呼ばれるデング熱。残念ながら予防接種や予防薬はありません。無責任のようですが「蚊」に刺されないようにすることがただひとつ予防対策です。自室を蚊取り線香、網戸、防虫対策を完璧にしても外出時に感染したら発症してしまいます。
マレーシア政府でも伝染病撲滅のため白煙を炊いて駆除を行っていますが、完全消去には至っていません。とはいえ、デング熱に感染し発症するのはかなりレアな症状です。筆者も毎日2~3箇所は、蚊に刺されていますが、今のところ20年間感染したことはありません。
20年間の間に、現地に暮らすマレーシア人の知人・友人がデング熱に感染し治療を受けたと聞いたことはありますが、それはかなり低いパーセンテージです。宝くじの1等前後賞の確率より高いかもしれませんが、交通事故にそう遭遇する確率よりも低いと思います。
心配しすぎず、蚊の予防に気をつけてください。
筆者の体験による有効な「蚊」対策をお話ししておきます。蚊は、日の出と日の入りの時間帯に活発に活動します。筆者はこの時間帯、外出するときは靴下、長ズボンでスニーカーを履いて出かけます。短パン・サンダルの場合に比較すると、雲泥の差で蚊の被害から身を守れます。お試しあれ・・・